今日の楽しみは、天明の純米酒「打上げ花火」をロックで飲むこと。 その一杯を想像するだけで、道の景色が少しやわらかく見える。
キャンプ場に着くと、まずはいつもの段取りで設営を済ませる。 WOWWOWテントが立ち、椅子が置かれ、荷物の位置が決まると、ようやく身体の中の時間も落ち着いてくる。 そこで最初の一杯として、いつものビールを開けた。
野菜スティックをかじりながら飲むビールは、家で飲むそれと同じ味なのに、なぜか少しだけ軽い。 湿地の静けさと、草の揺れ方が違うからだろうか。 ヒグラシの声が高くなったり低くなったりしながら、夕暮れの輪郭をゆっくり描いていく。
やがて、ヒグラシが一度ふっと間を置く。 その瞬間、空気の温度がわずかに変わる。 「そろそろ日本酒だな」と思う。 このタイミングで飲む日本酒は、ただの酒ではなく、時間の流れを変える道具になる。
天明の純米酒「打上げ花火」をロックで。 氷の音が小さく鳴り、グラスの中で透明な冷たさが立ち上がる。 一口飲むと、湿地の静けさがさらに深くなる。 沼の水面は動かず、草だけが風を受けて揺れている。 その対比が、じゅんさい沼の夕暮れを特別なものにしている。
天明のフルーティな香りと、すっきりとした味わいが、テントサイトでのわずかな時間を静かに深めてくれた。 その短い時間の濃さは、キャンプでしか生まれない種類の静けさだ。
入口を抜ける風だけが、夜がゆっくり更けていくことを教えてくれていた。WOWWOWテントの中で、ただその風を聞いているだけで、時間は静かに沈んでいく。